また本物が見たい!国宝にも使われた美しいタマムシ
もう久しくタマムシを見ていないので、ふとあの美しい昆虫が動いている姿が見たくなって動画を探してみました。
子供の頃は家に入ってくることもあって、別に珍しい昆虫ではなかったのですが、最近は地元でもあまり見かけなくなっています。
日本の甲虫目(鞘翅目)の中でもヤマトタマムシほど美しい昆虫はいないと思います。
ヤマトタマムシはメタリックカラーのように輝いていますが、金属のような冷たい感じはしません。
この動画でも分かる通り、輝いているのは背中の部分だけではなく、目と触角を除いて、腹や足まで全身が輝いています。
誰もが小学校の社会で習ったと思いますが、日本の国宝に法隆寺の「玉虫厨子」があります。
名前の通り、この厨子の飾りにはタマムシの羽が使われていました。
私が「玉虫厨子」を見たのは小学生の頃で、その時もこの厨子の細工にはタマムシの羽が使われているという説明を受けましたが、残念ながらすでにタマムシの羽のほとんどが失われていました。
タマムシの羽の輝きは1000年経っても変わらないそうですから、タマムシの羽が失われていなかったら、今でも厨子を美しく彩っていたのでしょうね。
ちなみに、岐阜県の中田さん(故人)という方が1億円を超える私費を投じて、国宝・玉虫厨子の復刻版と新たに平成版の玉虫厨子の2基の制作を計画されました。計画から約5年後の2008年に完成しましたが、のべ4000人もの職人さんが制作にたずさわり、復刻版には6622枚、平成版には36000枚以上のタマムシの羽が使われているそうです。
※以下のドキュメンタリーに玉虫厨子の制作が記録されているようです。
よくそれだけの羽を集められたなぁ~と思いましたが、静岡県藤枝市の芦澤七郎さんが平成元年からタマムシを飼いはじめ、人工飼育に成功し、玉虫研究所と玉虫愛好会を立ち上げられているので、自然界からタマムシを乱獲しなくても、日本全国のタマムシ愛好家から数年がかりで入手したのではないかと思います。(おそらく。)
タマムシは卵から孵って幼虫の状態で2年過ごし、成虫として夏の2ヶ月を過ごしてその一生を終えます。
装飾品や細工に使われるタマムシの羽には寿命を終えたタマムシの羽を使いますから、玉虫厨子の玉虫細工に使われた羽も寿命を終えたタマムシの羽だと思います。
まさか殺生が禁忌である仏教に関わるものを作るのに、大量のタマムシを殺してしまうなんてことは無いはずですし、そんなことはタマムシ愛好家が許すはずがないと思います。
これは個人的な感想なんですが、タマムシって美しいだけじゃなくて、目が大きくてなかなか愛らしい顔をしていると思うんです。
すっかり前置きが長くなってしまいましたが、それではタマムシの美しい姿をご覧ください。
玉虫研究所によると、ヤマトタマムシを人工飼育する際、幼虫の時期は木の中で木を食べて成長するのでエサを与える必要は無く、成虫になった後は、榎の葉を与えてやるだけで水も霧吹きも必要なしだそうです。
繁殖させるとなると、卵を産み付ける場所であり、幼虫の時期を過ごす場所でもある木を入手しなくてはなりませんが、そこをなんとかできればヤマトタマムシの人工飼育が出来そうですね。
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